BtoB製造業のマーケティング戦略とは?【WEBサイトリニューアル編】
プロジェクト概要
「コーポレートサイトは、見た目のキレイさだけでない。メトロールを知ったお客さんと最初の接点となる場所にふさわしい情報の見せ方をしたい。」こう語るのは、マーケティング部のタイソン。
ここでは2021年10月にコーポレートサイトの全面リニューアルした裏側をお見せします。
- テーマ
- ホームページリニューアルプロジェクト
- PJメンバー
- 1名 他(社外パートナー: GUCIO & Co.)
- PJ期間
- 約3年(構想段階から)
- 担当業務
- マーケティング部 タイソン
目次
なぜ、使い慣れたサイトを捨てて、リニューアルに踏み切ったのか?
こんにちは、マーケティング部のタイソンです!
突然ですが、みなさんは気になる商品や企業をもっと知ろうと思ったらどうしますか?
「WEBで検索する」という方が多いかと思います。
つまり「WEBサイト」は初めてのお客様と接点を持つ場所の1つとして、重要な役割を担う媒体なんです。
そんな企業の顔とも言えるWEBサイトを約10年ぶり一新し、全く違う形に作り替えました。
それはなぜか?
本記事では、
・メトロールのWEBサイトの役割
・WEBコンテンツ制作において大事にしていること
・メトロールのマーケティング戦略におけるゴール
を解説します。BtoB製造業のマーケティングに興味のある方も、ぜひご覧ください!
めちゃくちゃ苦労したプロジェクトなのでぜひ読んでみてください!
他社との違いが伝わらなければ、お客さんに選ばれない
タイソン:リニューアルのきっかけは、サイトのレスポンシブ対応※でした。
当初は自分自身がWEBに関してド素人だったことや、旧サイトもそれなりによくできていると思っていたので「HPは変えずに、スマホ対応だけすればいい」と考えていました。
(※レスポンシブ対応:スマホやPCなど端末に応じてサイトの表示が切り替わること)
顧客の立場で得た気づき
しかし、リニューアルをお願いするWeb制作会社を探す過程で、「サイトの一部修正じゃなく、全面リニューアルでなければだめだ…!」、と考えが変わったんですよね。理由は、Web制作会社10社くらいと会ってみて、
- はっきりと良さが見えて、安心感を感じる制作会社
- 強みや他社との違いが見えず不安が残る制作会社
があることに気づきました。その時にハッとしたんです、メトロールもそう思われていないかって。
お客様の「不安」を解消したい
制作会社を探している時の自分もそうでしたが、お客様は絶対失敗したくない!という不安を抱えながら「安心できる判断材料」を探しています。
せっかくWEBサイトに初見のお客さんに来てもらえても「不安が解消できなそう…」と少しでも思われたら何も決められずに帰ってしまう。つまり、お客様の欲しい情報がすぐ手に入る状態になっていなければ、機会損失に繋がる。
もともとWebマーケティング経験がゼロの僕自身ですら自然とそう感じたので、これを機にサイトのコンセプトや設計をゼロから考え直そうと決意しました。
WEB制作もうん百万もの投資です!WEBマーケ素人からしたらどこに発注するかの意思決定は不安で夜も眠れませんでした。
旧サイト:メトロールが何者なのか?がわかりにくい
今思えば、旧サイトはすでに製品を使っているユーザーにとっては問題ないけど、まだメトロールが何者か知らない人には紛らわしい作りでいわば「玄人向け」の作りでした。
理由を挙げると
- トップページからいきなり商品紹介
- 専門用語、業界用語が並ぶ
- 用途のわからない商品画像が脈絡なく多数並び、ごちゃごちゃした印象
- お客様に商品知識がある前提でつくられた文章
などたくさんあります。
HPも見慣れてしまうと何が悪いのかわからなくなってしまいます!常に前提を疑うことが大事ですね。
なのでリニューアルプロジェクトでは、はじめてサイトに来た人にどんな「自己紹介」をすればストレートにメトロールを理解してもらえるか、を一番に考えました。
そもそも「位置決めセンサーなんてほとんどの人は知らない!」という初心戻って、メトロールがどんな製品をつくり、どんな技術を持っていて、どんな課題を解決できるのか、「企業価値」を含めた自己紹介が必要だと考えました。
新しいサイトのトップページでは、まず「メトロールは、ものづくり企業の自動化に貢献するセンサーを作る会社です」と紹介しています。 他にも
- 「メトロールの軌跡」
- 「装置メーカーの方へ」
といった自分たちの得意なことを紹介するページを新設しました。位置決めセンサーのニッチ分野で、トップシェアに登りつめた裏付けとなるメトロールの技術の特徴や強みなど基本的なコンテンツですね。
●メトロールの軌跡
メトロールの歴史は、「どんな技術を持った会社なのか?」の裏付けでもあり、ビジネスパートナーとして信頼してもらうための重要なコンテンツだと考え作りました。 お客様だけでなく求職者の方にもわかりやすいように、1976年に町工場で誕生し、グローバル企業に成長した現在までの「技術の歩み」を丁寧に紹介しました。
メトロールの技術が一過性のものではなく地道に積み上げられたものであることを知ってもらうためのコンテンツです。
●装置メーカーの方へ
このページは、装置メーカーの方にメトロールの強みである柔軟なカスタマイズ設計力を知ってもらうための「手紙」のつもりで書きました。センサーは機械の一部になるので標準品だと組み込みにくく困る設計者さんが多いんです。うちがカスタマイズが得意なことを知らない人も多いので「オーダーメイドも承りますよ!」と直接訴えかける試みでした。
BtoBを意識したつくりになっているか
コーポレートサイトをつくる上でもう一つ配慮したかったのが、BtoB(*)を意識したコンテンツが用意されているかどうか、です。(* BtoB:Bisiness to Bisinessの略で、企業向けのビジネス)
一般消費財(BtoC)なら、買い手が製品に関する情報を手に入れやすいです。
「掃除機」を例でいうと、
- ECサイトやSNSを見れば自分以外のユーザーの口コミ情報が豊富
- 店頭にいけば購入後の効果をイメージしやすい
など購入の判断材料が揃ってますよね。
逆にメトロールの商材はBtoB製造業に当てはまるんですが、一般的にBtoBって守秘義務や顧客情報も絡むので秘密主義で、情報が少ないケースが多いんです。その結果
- 高額なのに実際に買ってみないと良さが分からない
- 商品の詳しい情報が営業を呼ばないと手に入らない
- 商品単体では何に使えるのかイメージがつかない
ゆえにお客さんが「この製品ほしい!」と判断できる状態になるまでのハードルが高い印象があります。
なのでメトロール製品をお客様の検討テーブルにのせてもらうためには、「エンジニアならセンサのことくらい知ってるだろう」という発想は捨てて、「ユーザが知りたがっている情報」と「ユーザに知っててほしいけど伝わっていない情報」を分かりやすく伝える目的で3つのコンテンツを用意しました。
①営業が説明していた技術トークを記事化
②画像や動画などの視覚コンテンツを充実化
③類似製品の検索・比較機能の実装
①営業が口頭で説明していた技術内容を記事化
最も注力したエンジニア向けのお役立ち情報「ソリューション」を充実させた点です。 新しいセンサの活用方法や提案を分かりやすく解説しています。ある記事は大手工作機械メーカーの目に留まり、当社のセンサとコラボレーションするプロジェクトがスタートしました。「やっぱりお客さんもこういうこと知りたがっていたんだな」というのを日々感じます。
②画像や動画などの視覚コンテンツを充実化
実際にロボットや装置の搭載イメージがわかる視覚コンテンツを大幅に増やしました。センサー画像単体ばかりを載せていた旧サイトより、「何に使うセンサーなのか?」の疑問が明確化され、ユーザが検討しやすくなったと思います。
③類似製品の検索・比較機能
検索機能・製品比較ができるシステムを導入しました。 「外観は同じだけど、構造が違う」センサが膨大な数あり、迷うユーザも多いためです。検索条件で製品を絞り込み、比較機能も使えば、違いが色付けされ一目瞭然。最適な製品をすぐに選べるようにしました。
とにかく、知識0ベースのお客様が必要な情報に正確にアクセスできることを優先に考えました。
サイトは「箱」、自社ブランドを築く「コンテンツ」作り
「リニューアルしよう!」と構想してから公開まで約3年くらいかかりました笑 これは素直に自分の能力や決断力不足も大きかったと反省する点も大きいです。
ただ自分自身のWebサイト運営のスキルが大幅にアップしましたし、リニューアルによって旧サイト時代に、年間数百万円かけていたWeb広告費用はほとんど出さずとも、同水準のアクセスが得られるようになったりと、改善効果は大きかったです。
Webサイトはあくまでも「コンテンツの入れ物」なのでようやくスタート地点に立てた印象です。今後はもっとお客さんにとって有益なコンテンツを企画したいし、コンテンツをつくれる人を採用したり社内で育成もしていきたいですね。
困っているお客様の一番の相談役になりたい
メトロールの技術・価値に共感してくれる顧客に出会うこと
2022年からマーケティング部の目標を「メトロールの技術・価値に共感してくれる顧客に出会うこと」と打ち出しました。悩みを抱えるお客様の一番の相談相手にメトロールが選ばれるように、役立つ情報を惜しまずコンテンツ化していくつもりです。普段からメトロールのコンテンツに触れて、ものづくりの悩みを解消してくれる企業だと認知されていれば、お客様も課題に直面した時にまず相談しに来てくれると考えてます。これをメトロールのブランディングにしたい。
コンテンツ制作は本当に地道です。しかし自分の作ったコンテンツがきっかけで、世界中の見えない場所で大きなビジネスチャンスの可能性に繋がっていくと考えるとワクワクします。技術情報をオモテに出すことに躊躇する製造業がまだまだ多いだけに、チャンスも眠ってると感じてます。
コンテンツを通じて、より多くの人にメトロールの価値に共感してもらい、「製品を使ってみたい、開発の相談をしたい」と思ってもらいたい。それが、困りごとを抱えたお客様のイノベーションに繋がるとうれしいですね。
メトロールでは一緒に働く仲間を探しています。
メトロールは生産設備や工作機械などの自動化に貢献するセンサーメーカーです。東京都立川市で作ったセンサは世界74ヶ国、7000社以上のお客様にご利用いただいています。次世代のものづくりや設備に使用されるユニークなセンサの企画から開発・製造までを一貫して行う開発型メーカーでもあります。
メトロールブランドを共に支え世界へ広めてくれる仲間を探しています! 少しでも興味を持っていただけた方は、メトロールまで気軽にご連絡ください。まずはカジュアル面談からという方でもOKです!